17年前の言葉!

『3年くらい前から若手育成の重要性について話合っていました。三好強化委員長を筆頭に奥村監督との話し合いの中で若手の育成、強化合宿を選抜でやろうという話題が上り、今年実行できる運びとなりました。今回、合宿をやったのは彼らに「世界を目指せ!」というメッセージを伝えたかったという意味が込められています。三好強化委員長が「朝日が昇ったような感じだ」とおっしゃっていましたがまさにその通りだと思います。
将来、このジュニアの中から必ず世界チャンピオンが出ます。将来の軽、中、重のワールドカップのチャンピオンが必ず出ます。これだけは断言します。だから、「それは他の誰かじゃなくて俺がなってやろう!」と強く思ってください。そして日本の王座を絶対守る日本代表選手になってください。先輩が守ってきた第一回から第八回の無差別王者を絶対に海外に渡さないようにがんばってください。君たちの世代で王座を流出させてしまうのは先輩が築いてきた伝統を崩すことになります。だから君たちの世代が主役になる第9回、10回、11回の世界大会も必ず日本が無差別の王座を守ってください。そして、ワールドカップにおいても取られたら必ず取り返すという、先輩たちの気持ちの強さを受け継いでほしいと思います。』
何故、今ユースなのか? 極真魂2006年1月号 緑 健児代表インタビュー
これは2005年11月、千葉県の日本エアロビクスセンターで開催された第1期のユースジャパン強化合宿の結団式で緑代表が47名の選手達の前で挨拶した言葉である。
2017年7月1日、アスタナの大会会場の国旗掲揚台の一番高い所に日の丸が7度揚がった。一日に7回続けて国歌「君が代♪」を聴いた。カザフスタンで開催された第6回全世界ウエイト制大会において、日本代表選手団が8階級のうち7階級制覇の偉業を成し遂げた。そして、その二年後の第12回世界大会において日本代表選手団は男女W優勝を成し遂げた。これら全てユースジャパン出身の選手たちが日本代表選手となって成し遂げたのである。
将来の世界大会日本代表選手を発掘育成するため、2005年に組織が満を持して立ち上げたプロジェクトがユースジャパンだった。2003年の第8回世界大会で日本代表選手団のコーチに就任し、同時に選手強化委員会の副委員長の命を受けた。その二年後の第3回カラテワールドカップで代表監督となった。当時の組織の一番の課題は何か?それは日本代表選手団の塚本はじめ鈴木、新保、石原、塚越ら主力選手が引退したらどうなるか?彼らの後に続く選手育成が最重要課題だった。かくして2005年、ユースジャパンが誕生したのである。
25歳の時、第4回世界大会に出場した。日本代表選手団強化合宿で大山総裁より直々に教えを受けた。これが自分の原点である。断言できる。もしも日本代表選手になっていなかったら、今の自分はない。その時の同士のひとりである緑代表が第5回世界大会で優勝し、今は組織の代表として世界の頂点に立っている。同じく同士の木元師範と外舘師範は理事となって緑代表を支えている。日本代表選手団の総監督を務める三好副代表は第2回、第3回世界大会を戦った世界戦士の大先輩である。自分がコーチ、監督を務めた時の選手達。塚本は第6回大会の最年少チャンピオンに続き、第10回大会では最年長の世界チャンピオンとなった。石原は第1回のワールドカップ中量級チャンピオンである。塚越は第3回ワールドカップ重量級に続き、第9回大会で世界チャンピオンとなった。今は皆選手団コーチとなって自分を支える。それだけではない。第1期ユースジャパンで育ち、世界チャンピオンになった島本雄二と将口恵美も今は選手団コーチである。感無量の思いである(涙)。世界の舞台で戦った歴代の世界チャンピオンや日本代表の師範方の技と魂を伝えたいとの思いから、あのユースジャパンの永遠のテーマ“伝統継承!”が生まれた。
厳しいコロナ禍で第1回WFKO世界大会は1年延期の末、中止となった。第7回全世界ウエイト制大会は1年延期となり、今年9月ポーランドで開催予定であるが全く予断を許さない状況にある。関連する強化合宿や海外遠征は2年間全て中止となった。感染拡大が続き厳しい状況の中ではあるが、いよいよ組織が動き出す。日本代表選手団も再始動する。選手団とユースジャパンの聖地である富士の麓ではないが、東京都心の有明で初めての合宿を行う。ここに2年ぶりのユースジャパン選手を招集することとなった。第16期となる今回のユース強化指定選手は10名である。過去最多参加が450名だった事を考えると遠く及ばない。しかし、今回のたった10名のユース合宿は意義がある。あの17年前の第1期に匹敵するくらいの重みがある。何故なら、伝統継承は伝える人がいて、それを継承する人がいなければ全く意味がないのである。継承する人がいてこその伝統継承なのである。この10名こそが4年後の日本代表選手と確信する。だから明日の結団式で、17年前の緑代表の言葉を伝えようと思う。それが自分の使命であるから。
「9月ポーランドで全階級制覇せよ!そして、第13回世界大会では君達の手で再び男女W優勝を成し遂げよ!」
伝統継承せよ!

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