世界大会に出る方法!
『空手の稽古をするにあたって、基本はとても大切なものですが、道場では稽古の内容だけではなく、あいさつなどの立ち居振る舞いも大切になってきます。今回は、基本稽古に入るまでに知っておかなければならないことも含めて紹介します。・・・』空手LIFE特集 空手道、はじめの一歩(前編) 講師:藤原康晴師範(WKO技術委員長)
土曜日の少年部、稽古が終わった後に課外授業を行った。ズバリ!・・・
「道着の正しいたたみ方」
道着のたたみ方を教えたのは初めてではないが、いつのことだか分からないくらい前の事である。少年部はほとんどが道着姿のまま車で来る。帰りもそのまま。少年部が道着のたたみ方を知らないのは、全てそれを教えない師範の責任である。昔、道着を洗濯カゴに入れて来る道場生がいた。帰りは汗で臭くなるから、それはそれでいい。大切な事は、基本(たたみ方など)を知っていて省くのならいいが、知らないでやることはよくない。稽古も然りである。
きっかけは、ある黒帯の指導と会話だった。基本中の基本である“不動立ち!”の説明が自分の教えと違っていたからである。入門者に先ず最初に教えるのが挨拶の仕方である。その挨拶には押忍と不動立ちがからむ。入門者の根本でもある。その教えが違っていた。しかもふたりとも極真時代同じ道場の後輩だったから尚のこと驚いた。40年間修業をし、学んだ事と教えて来た事が違った。自分が間違っている場合もあり得る。念のため調べた。要点のみで言えば・・・腕は90度に曲げるとは書いてなかった。
“拳は帯の高さ!”
一番まずいと思った事は、教えが間違って伝わる事と他にもっと大きな違いがあるのではという事だった。不動立ちは稽古の始まり(の立ち方)である。拳の位置が違えば他の立ち方や稽古の時の位置すらも変わってくる。あらためて基本や道場の所作から見直そうと思った。(基本)稽古をする前に覚えておかなければならないことがある。この機会に原点に立ち返り、基本から指導しようと思った次第である。
師範と黒帯の教えの違いが起こった原因は何か?そのひとつは、今現在他人に指導しているかどうかであろう。スポーツクラブの指導をしたらそれが分かる。週1回1時間だけ。自主トレ時間もない。特に幼稚園児が多い低学年クラスの指導、毎週基本の繰り返しである。基本とは、基本稽古のことだけではない。押忍の挨拶だったり、気合いだったり。整列からして毎週大変である。不動立ちの注意をしない日はない((´∀`))。90度なんかも分からない。お手本を見せて真似させる。しかし、目を瞑って見なくても分かるような言葉で指導(説明)が出来るようでなければ指導員失格である。入門者が毎日絶えない道場だとこんなことにならなかったかもしれない。或る人がこう言った。
教えは二度目の学びである。
実に的を得た言葉である。自分が分かっていないと教えることは出来ない。教える事で気付く事もある。まさに教える事は自身にとって二回目の学ぶ機会でもある。
不動立ちを確かめるのに1分も掛からなかった。書棚にある大山総裁の著書とファイルを見ただけだから。空手LIFEで基本の技や立ち方、道場の所作(礼の仕方等)などを特集したことがあった。道場訓の解説さえ載ったこともある。組手の技術に至っては毎回掲載されている。世界チャンピオンや日本代表選手のテクニックは言うに及ばず、トレーニング方法から始まり心構えなど・・・心・技・体全てに渡り網羅されている。パワー空手➡極真魂➡空手LIFEと名前は変わったが、組織が出す機関紙はまさに宝の本である。
自分自身も含めて道場生の皆さんの修行の糧に少しでもなればと思い道場HPに掲載した次第である。果たして何人の人が記事を印刷しただろうか?何人の人が100円ショップに行ってクリアファイルを買って来て、スクラップ整理しただろうか?何人の人がダンボール箱から件の号を引っ張り出して見ただろうか?いや、もう10年前に発刊された時に特集記事のコピーをしてるだろうか?もし、今回HPで見て読んで理解しても何年も経てば忘れたり、同じ事の繰り返しになろう。いつでも見れるように手元に置く事が大事なのである。それは自分を律する自身の生きる指針ともなる“座右の銘!”とも同じようなものである。もし、そんな事するのは師範だからと言う人がいたら、自分はこう答える。
空手道の修行に師範も道場生(の区別)もない。大会出場したら、師範も道場生も全く関係ない。大会にでなくても道場で組手したら全てが分かる。師範になる前の自分の膨大なファイルを見たら分かる。宝物殿の大山総裁の著書を見たら理解する((´∀`))。闘魂神社で弟啓治(師範)と入門を夢見て真似事の修行に明け暮れた日々。何でも調べられるパソコンもない時代である。ユーチューブもない。コンビニにコピー機もない時代。いやいやコンビニすらない時代である。雑誌や新聞の切り抜きをして保存したものである。それが自分のDNAとなった。
誰に言われることなく、印刷したり100均行ってファイリングするような人が世界大会に出れる。自分はそう思う。支部長になっていつか気付いた事があった。道場訓の事である。勿論、自分なりに解説出来る。が、そう言う事ではない。
道場訓には世界大会に出る方法が書いてある。自分はそう思っている。
一. 吾々は心身を錬磨し 確固不抜の心技を極めること
確固不抜の心技を極める。まさに偉業を成し遂げた多くの武道家やスポーツ選手が口にする言葉、“心・技・体!”のことである。
コロナ禍の中で厳しい修業を続け、6人が昇段を果たした。自分が黒帯になった道場生にひとつだけ課している事がある。それは組織の機関紙である空手LIFEの購読である。会費を払い(貰い)、趣味の空手である。絶対的な強制力はない。しかし、である。指導する機会もあろう、組織の動きや緑代表の考えなどを知って欲しくてのことである。所属する組織(流派)の正しい基本や所作を知らずして・・・組織人として・・・黒帯だけには組織名が刺繍されている。
同じく空手LIFEで「空手1年生の教科書」と題して様々な角度から基本稽古や型、大会出場などを掘り下げて師範方が解説する特集があった。そのサブタイトルが“千里の道も一歩から!”だった。巻頭ページには、第10回世界大会で史上初めての男女W優勝を成し遂げた塚本支部長と将口恵美選手が二人並んで正座し黙想する写真があった。まさに正しい道着のたたみ方や不動立ち(を学ぶこと)こそが世界への道に繋がるものと信じて止まない。
『・・・まず、礼の仕方や道着のたたみ方などを紹介しますが、こういった所作に「これが正しい」という決まりはありません。・・・ここで私が総本部道場時代に大山総裁に教えて頂いたやり方を紹介しますので、参考にしてみてください。(藤原師範)』
藤原師範が言われる「大山総裁に教えて頂いたやり方」、此処にこそ流派の根本がある。流派が違えば、引きて一つ取ってみても全く違う。大山総裁が創られた地上最強の極真空手。新極真会の支部長としてその大山総裁の教えを伝えるのが自分の役目である。基本の統一!「黒帯研究会」の意義のひとつが此処にある。
老いぼれ師範だけど、師範と違うことを教えてはいけない((´∀`))
ある道場生に特集記事のコピーをあげたら御礼を言われた。自分はこう答えた。
“仕事ですから!”
せめて世界大会を目指す道場生と分支部長・黒帯には同じ思いで指導に携わって貰いたいと願うばかりである。
幸一師範、使命 原点!
・・・原点!!